令和6年度 美原記念病院 病院情報の公表

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
  4. 転倒・転落発生率
  5. 転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率
  6. 手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率
  7. d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率
  8. 65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合
  9. 身体的拘束の実施率
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 - 13 14 40 59 191 176 392 346 112
【項目の説明】
令和6年6月1日から令和7年5月31日までの退院で、一般病棟に1回以上入院した患者さんを対象としています。10件未満の数値の場合は、-(ハイフン)を記入しています。
年齢階級別退院患者数とは、退院した患者を年齢階級ごとに分類し、その人数を示しています。地域の人口構成や当院の診療対象の特徴を反映する重要な指標です。

【この項目に関する当院の特徴】
当院は脳・神経疾患を中心に幅広い年齢層の患者さんを受け入れています。その中でも70歳以上が全体の約6割(63.3%)を占める点が大きな特徴です。内訳としては70〜79歳が29.2%、80〜89歳が25.8%、90歳以上が8.3%を占めています。一方で50〜69歳の働き盛り世代も27.3%を占めており、脳卒中患者さんを積極的に受け入れています。このような年齢構成を背景に、当院では急性期からリハビリテーション、さらに在宅医療まで一貫した医療を提供しています。伊勢崎医療圏における脳血管障害領域の中核として、地域の医療と生活支援に貢献しており、前年と比較し大きな変化はありませんでした。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060xx99x40x 脳梗塞 手術なし 脳保護剤(エダラボン)投与等あり  てんかん、肺炎、尿路感染症等の合併症なし 127 25.65 16.89 3.94 72.35
010230xx99x00x てんかん 手術なし 誤嚥性肺炎の合併症なし 32 9.91 6.89 3.12 60.09
010060xx99x20x 脳梗塞 手術なし リハビリ等あり  てんかん、肺炎、尿路感染症等の合併症なし  31 32.19 16.94 12.9 80.13
030400xx99xxxx めまい 手術なし 17 4.12 4.67 0 70.59
010080xx99x0x1 脳脊髄の感染を伴う炎症 手術なし 15歳以上 14 24.71 15.94 7.14 46.64
【項目の説明】
令和6年6月1日から令和7年5月31日までの退院で、一般病棟に1回以上入院した患者さんを対象としています。10件未満の数値の場合は、-(ハイフン)を記入しています。
診療科ごとに主要な診断群分類(DPC)の患者数が多い上位5つを示すことで、疾患の傾向や診療科の強みを把握することができます。
ここでは、脳神経内科に入院する主な原因疾患を示しています。
全国の平均在院日数については、厚生労働省の「診断群分類別患者数等に資するDPC対象病院における診断群分類別平均在院日数(令和6年度)」から引用しています。

【この項目に関する当院の特徴】
当院 脳神経内科では、脳血栓症をはじめとする虚血性脳血管障害の患者さんが多数を占めています。これらの疾患に対しては、早期発見・早期治療を基本に、医師・看護師だけでなく、リハビリテーションスタッフ、管理栄養士、医療相談員を含む多職種が連携するチーム医療を展開しています。
入院後早期から機能回復練習を開始し、経口摂取への移行を積極的に支援することで、患者さんの早期回復を図っています。さらに医療相談員が介入し在宅復帰に向けた支援体制も構築しており、在宅復帰率は約85%を維持しています。なお、表に示された平均在院日数には回復期リハビリテーション病棟が含まれているため長期化して見えますが、急性期病棟における実際の在院日数は主要疾患群で6.8〜13.0日と全国平均より短く、効率的な急性期医療提供を実現しています。このように当院は、虚血性脳血管障害の早期治療から在宅復帰支援までを切れ目なく担う体制を整え、地域の脳卒中医療に貢献しています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060xx99x40x 脳梗塞 手術なし 脳保護剤(エダラボン)投与等あり  てんかん、肺炎、尿路感染症等の合併症なし 153 28.63 16.89 3.27 72.06
010030xx991xxx 未破裂脳動脈瘤  手術なし 脳血管撮影あり 75 2.04 2.86 0 64.72
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷(硬膜下血腫等)  手術あり(穿孔洗浄術等) てんかん、誤嚥性肺炎等の合併症なし 57 13.74 9.83 3.51 79.60
010040x099000x 脳出血、脳動静脈奇形等(意識覚醒している) 手術なし  肺炎等の合併症なし 46 51.93 18.68 2.17 66.26
010060xx99x20x 脳梗塞 手術なし リハビリ等あり  てんかん、肺炎、尿路感染症等の合併症なし 44 32.14 16.94 6.82 77.27
【項目の説明】
令和6年6月1日から令和7年5月31日までの退院患者であり、一般病棟に1回以上入院した患者を対象としています。
こちらには、脳神経外科において入院の原因となった疾患のうち、患者数の多い上位5疾患を示しています。
全国の平均在院日数については、厚生労働省の「診断群分類別患者数等に資するDPC対象病院における診断群分類別平均在院日数(令和6年度)」から引用しています。

【この項目に関する当院の特徴】
当院脳神経外科では、くも膜下出血の原因となる未破裂脳動脈瘤の症例を数多く受け入れており、地域の医療機関から多くの紹介をいただいています。これは、従来の開頭術に加え、コイル塞栓術、ステント併用療法、さらにはフローダイバーターを用いた脳血管内治療など、多様な治療選択肢を提供できる体制を整えていることによるもので、患者さん一人ひとりの病態に応じた低侵襲かつ効果的な治療を実現しています。 また、超急性期の脳梗塞に対しては、血栓溶解療法(t-PA)で効果が不十分な患者さんに対し、経皮的脳血栓回収術を行うことで後遺障害を最小限に抑えています。こうした救急対応力は地域の脳卒中医療に貢献しています。
なお、表に示された平均在院日数には回復期リハビリテーション病棟の入院期間も含まれるため長く見えますが、急性期病棟のみの在院日数は主要疾患群で2.0〜14.9日となっています。
このように当院は、未破裂脳動脈瘤からくも膜下出血・脳出血、そして超急性期脳梗塞まで、幅広い脳血管疾患に対し迅速に対応できる体制を整え、地域医療に貢献しています。
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050130xx9900x0 心不全 手術なし 他の病院・診療所の病棟からの転院以外 10 20.9 17.33 10 78.2
050210xx9900xx 徐脈性不整脈 手術なし - - 7.84 - -
10006xxxxxx1xx 1型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) インスリンあり - - 12.60 - -
100210xxxxxxxx 低血糖症 - - 6.14 - -
110310xx99xxxx 尿路感染症  手術なし - - 13.66 - -
【項目の説明】
令和6年6月1日から令和7年5月31日までの退院で、一般病棟に1回以上入院した患者さんを対象としています。
10件未満の数値の場合は、-(ハイフン)を記入しています。
こちらには、循環器内科において入院の原因となった疾患の患者数の多い上位5疾患を示しています。
全国の平均在院日数については、厚生労働省の「診断群分類別患者数等に資するDPC対象病院における診断群分類別平均在院日数(令和6年度)」から引用しています。

【この項目に関する当院の特徴】
高齢化社会を迎え、心不全の患者さんが増加しており、当院においても、心不全を主とする循環器疾患の患者数が増えています。脳・神経疾患を専門とする病院でありながら、高血圧・糖尿病・虚血性心疾患など心不全の危険因子を併せ持つ患者さんも少なくなく、循環器専門医が治療にあたっています。また、脳・神経疾患を有する患者さんが肺炎や尿路感染を合併した患者さんに対して、全身管理と感染症治療を含めた総合的な対応を行い、再発予防や在宅復帰支援につなげています。平均在院日数については、回復期リハビリテーション病棟が含まれているため長期化して見えますが、急性期病棟に限れば在院日数は11.6日です。このように当院は、循環器疾患単独の治療だけではなく、脳・神経疾患を基礎疾患に持つ患者さんの合併症に対しても柔軟に対応する体制を整えています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 - - - - - - 1 -
大腸癌 - - - - - - 1 -
乳癌 - - - - - - 1 -
肺癌 - - - - - - 1 8
肝癌 - - - - - - 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
【項目の説明】
令和6年6月1日から令和7年5月31日までの退院で、一般病棟に1回以上入院した患者さんを対象としています。10件未満の数値の場合は、-(ハイフン)を記入しています。
5大癌(胃・大腸・肝・肺・乳)の初発症例をUICC病期分類別に示すとともに、再発症例数も公表しています。

【この項目に関する当院の特徴】
当院は脳・神経疾患を専門とする病院であるため、胃癌・大腸癌・肝癌・肺癌・乳癌といった5大癌を治療目的として入院される患者さんはほとんどおりません。入院中に偶発的に癌が疑われた場合には、速やかに画像診断や検査を行い、必要に応じて専門的治療を担う地域の医療機関へ紹介しています。
この体制により、当院では本来の専門領域である脳・神経疾患に専念しながら、癌が疑われる患者さんに対しても適切な早期対応と医療連携を確保しています。専門医療機関との協力体制を通じて、患者さんにとって最適な治療環境を整えています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 - - -
中等症 - - -
重症 - - -
超重症 - - -
不明 - - -
【項目の説明】
令和6年6月1日から令和7年5月31日までの退院で、一般病棟に1回以上入院した患者さんを対象としています。10件未満の数値の場合は、-(ハイフン)を記入しています。
市中肺炎の患者を重症度別に分類した数を示し、当院における肺炎治療の実績を表しています。入院後発症した肺炎はこの数に含まれません。

【この項目に関する当院の特徴】
当院に入院される市中肺炎の多くは、在宅療養中の脳卒中後遺症や神経難病の患者さんが発症したものであり、原疾患の特性から誤嚥性肺炎が大半を占めています。特に嚥下機能低下を背景とする症例が多いため、急性期治療と並行して栄養サポートチーム(医師・看護師・管理栄養士・作業療法士・言語聴覚士・薬剤師)が介入し、嚥下機能練習や食事形態の工夫を実施しています。また、抗菌薬適正使用支援チーム(医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師)と連携し、適切な抗菌薬治療や全身管理ができる体制を整えています。在宅復帰を視野に入れた栄養管理や再発予防の指導も実施しており、単なる肺炎治療にとどまらず、在宅療養中の患者さんの生活機能の維持を支援しております。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 434 34.06 74.84 4.90
その他 35 31.8 74.49 0.64
【項目の説明】
令和6年6月1日から令和7年5月31日までの退院で、一般病棟に1回以上入院した患者さんを対象としています。
脳梗塞の患者さんを対象に、発症から来院までの日数を「3日以内」または「その他」に区分し、それぞれの症例数、平均在院日数、平均年齢などを示しています。

【この項目に関する当院の特徴】
当院に入院する脳梗塞患者さんは発症3日以内が多く、急性期治療をしています。特に超急性期においては、血栓溶解療法(rt-PA静注療法)に加え、血栓回収療法を含む血行再建のための血管内治療など、先進的医療を積極的に行っています。これにより、障害の最小化と早期回復を目指しています。
脳梗塞は時間との闘いであり、迅速な診断と治療開始が極めて重要です。そのため当院では、医師・看護師に加えて、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・管理栄養士など多職種が連携し、発症直後から包括的に介入できる体制を整えています。この連携により、急性期治療からリハビリテーション、栄養管理、生活機能支援に至るまで切れ目のない医療を提供しています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 54 0.65 11.63 3.7 79.8
K178-4 経皮的脳血栓回収術 46 0.3 57.39 2.17 80.3
K1781 脳血管内手術(1箇所) 35 1.43 15.49 2.86 68.31
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 21 7.86 14.86 4.76 75.71
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所) 18 0.78 38.67 0 64.61
【項目の説明】
令和6年6月1日から令和7年5月31日までの退院で、一般病棟に1回以上入院した患者さんを対象としています。10件未満の数値の場合は、-(ハイフン)を記入しています。
当院で手術を受けられた患者さんのうち、手術件数の多いもの上位5つを挙げています。

【この項目に関する当院の特徴】
当院の年間手術件数は約280件で、脳・神経疾患専門病院として幅広い外科的治療を行っています。最も多い手術は慢性硬膜下血腫に対する穿頭ドレナージ術で、高齢化に伴い増加する本疾患に対して、迅速かつ安全な対応を心がけています。次に超急性期脳梗塞に対しては経皮的脳血栓回収術や選択的血栓・塞栓溶解術を行い、後遺障害の軽減に努めています。また、くも膜下出血や未破裂脳動脈瘤に対しては、脳血管内手術(コイル塞栓術やフローダイバーター留置術)と開頭による脳動脈瘤頚部クリッピング術を比較検討し、患者さんの状態に応じてより安全で適切な治療法を選択しています。頸動脈狭窄症に対しては経皮的頸動脈ステント留置術を導入し、再発予防と長期的な予後改善を図っています。これらの高度な手術を支える基盤として、当院には脳血管内治療を専門とする医師が複数名在籍しており、24時間365日常時提供しており、伊勢崎医療圏における脳血管障害領域の中核病院として地域医療に貢献しています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 - -
異なる - -
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 - -
異なる - -
【項目の説明】
令和6年6月1日から令和7年5月31日までの退院で、一般病棟に1回以上入院した患者さんを対象としています。10件未満の数値の場合は、-(ハイフン)を記入しています。
上記4つの疾患は医療費が比較的高額になることが多く、当院ではこれらの症例数を把握・集計しています。

【この項目に関する当院の特徴】
ここで取り上げられたDIC(播種性血管内凝固症候群)を含む4項目は、重症感染症や脳神経外科手術後の合併症として発症することがあります。当院では、これらの合併症を未然に防ぐことを重視し、周術期管理や感染対策を徹底しています。具体的には、早期からの抗菌薬投与、血液検査や画像診断による継続的モニタリング、そして多職種によるリスクアセスメントを通じて、発症リスクの低減を図っています。
その結果、当院におけるDICなどの重篤な合併症発生率はほぼ抑制できています。合併症予防への積極的な取り組みは当院の大きな特徴の一つであり、質の高い医療提供を支える重要な基盤です。
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
32 25 78.12
【項目の説明】
令和6年6月1日から令和7年5月31日までの退院で、一般病棟に1回以上入院した患者さんを対象としています。
当院で手術を受けた患者さんのうち、肺血栓塞栓症の発症リスクが高い方に対し、予防対策を実施した割合を示しています。周術期の肺血栓塞栓症の予防対策の実施は、発症リスクの低減につながります。

【この項目に関する当院の特徴】
当院では、手術直後の安静が必要な患者さんに対して、血栓予防のためのフットポンプを使用しています。ただし、下肢の動きが比較的良好である軽症の方の場合、フットポンプを装着することでかえって動きが制限されてしまうことがあります。そのため、患者さんの状態や重症度を見極め、必要に応じて予防策を講じています。このように「必要な方に必要な対策を行う」ことで、フットポンプの使用件数は少なく見えますが、実際には肺血栓塞栓症の発症例は報告されておらず、過不足のない適切な対応が行われていることを示しています。当院は、患者さん一人ひとりの状況に応じた柔軟な対応を重視し、安全な手術や入院生活の提供に努めています。
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
119 119 100
【項目の説明】
令和6年6月1日から令和7年5月31日までに、細菌培養同定検査を実施した患者さんを対象としています。
血液培養は、血流感染症の診断・治療方針の決定に必要な検査です。1セットより2セット提出することで、原因菌の検出感度が高まり、過剰治療の予防にもつながります。

【この項目に関する当院の特徴】
当院では、血流感染症が疑われる患者さんに対して、国内外のガイドラインに基づき速やかに血液培養を2セット採取することを徹底しています。これにより、起因菌の検出精度を高め、適切な抗菌薬の選択・変更に直結させています。
感染症診療においては、医師だけでなく看護師・検査技師・薬剤師が連携し、検体採取から結果報告、抗菌薬の適正使用につなげています。このような体制により、診断の精度向上と適切な治療に繋がり、血流感染症に対する医療の質が高く維持されています。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
26 23 88.46
【項目の説明】
令和6年6月1日から令和7年5月31日までの退院患者であり、一般病棟に1回以上入院した患者さんを対象としています。
入院後広域スペクトル抗菌薬は多くの菌に効果がありますが、体に問題のない菌も減らすため耐性菌の出現につながる可能性があります。そのため短期間の使用が推奨されています。
短期間の使用とするためには、感染症の病因菌を確認し、それに効果のある抗菌薬を確認することが重要です。そのための検査として細菌培養が必要となります。

【この項目に関する当院の特徴】
当院では、抗微生物薬適正使用の手引きに基づき、原則として抗菌薬を使用する際には細菌培養検査を実施しています。過去の培養結果を根拠に抗菌薬が選択されている場合でも、抗菌薬投与前に培養検査を提出して、起因菌を同定し、判明した起因菌をターゲットにした抗菌薬へ変更しています。一般的には境域の抗菌薬へ変更しますが、培養結果によっては広域スペクトル抗菌薬へ変更するなど、適切な治療薬の選択につなげています。これにより薬剤耐性菌の出現抑制と治療効果の両立を図っています。このように、抗菌薬開始前の培養実施の徹底と、結果に基づいた適正使用への切り替えは、当院の感染症管理における重要な取り組みの一つです。
転倒・転落発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生した転倒・転落件数
(分子)
転倒・転落発生率
28156 85 3.02
【項目の説明】
令和6年6月1日以降に入院し、令和6年6月1日から令和7年5月31日までの期間に退院し、一般病棟に1回以上入院した患者さんを対象としています。入院後当院で入院された患者さんのうち、転倒・転落の発生割合を示しています。傷害に至らなかった事例も含めて分析することで、転倒・転落発生リスクを低減していく取り組みが、転倒による傷害予防につながります。

【この項目に関する当院の特徴】
当院は脳・神経疾患を専門とする病院のため、片麻痺や運動機能障害、認知機能低下を伴い、転倒・転落のリスクが高い患者さんが少なくありません。そのため、全入院患者に対し、入院時に看護師が転倒リスクアセスメントを実施し、必要な場合には転倒予防対策をリハビリテーションスタッフと検討し、リスクに応じた個別のケアプランを策定しています。低床ベッドなどの環境調整、必要に応じた転倒防止用具の使用により事故発生の予防対策を講じています。また、転倒事例が発生した際には原因分析を行い、院内全体で情報を共有して再発防止策につなげています。
転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生したインシデント
影響度分類レベル3b以上の
転倒・転落の発生件数(分子)
転倒転落によるインシデント影響度
分類レベル3b以上の発生率
28156 0 0.00
【項目の説明】
令和6年6月1日以降に入院し、令和6年6月1日から令和7年5月31日までの期間に退院し、一般病棟に1回以上入院した患者さんを対象としています。
当院で入院された患者さんのうち、インシデント影響度分類レベル3b以上の転倒・転落の発生割合を示しています。インシデント影響度分類レベル3b以上とは、手術、ギプス、牽引、骨折が生じた場合、または神経損傷・身体内部の損傷のため診察が必要となった場合、もしくは転倒による損傷の結果、患者さんが死亡した場合です。

【この項目に関する当院の特徴】
当院は脳・神経疾患を専門としており、麻痺や認知機能障害を有する患者さんが多く、転倒・転落のリスクは一般病院に比べて高い傾向にあります。そのため、全入院患者に対し、入院時に看護師・リハビリテーションスタッフにリスクアセスメントを徹底し、転倒リスクの高い患者さんについてはベッド柵やセンサー機器の活用などの環境整備、多職種協働による早期離床・歩行練習を実施しています。
安全対策のため、インシデント報告制度が機能しており、重大な事故につながる可能性のあるインシデント(影響度分類レベル3b以上)が生じた場合は、医療安全管理委員会が分析し、対応策を検討しています。
このような安全対策によりレベル3b以上のインシデントは、対象期間内では発生していません。
手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率ファイルをダウンロード
全身麻酔手術で、
予防的抗菌薬投与が実施された
手術件数(分母)
分母のうち、手術開始前
1時間以内に予防的抗菌薬が
投与開始された手術件数(分子)
手術開始前1時間以内の
予防的抗菌薬投与率
105 104 99.05
【項目の説明】
令和6年6月1日以降に入院し、令和6年6月1日から令和7年5月31日までの期間に退院し、一般病棟に1回以上入院した患者さんを集計対象としています。
当院で入院された患者さんのうち、全身麻酔下で手術を受けた方について、予防的抗菌薬投与が実施された手術の中で、手術開始前1時間以内に抗菌薬が投与が開始された手術件数の割合を示します。
現在、手術後の感染をできるだけ防ぐため、抗生物質をあらかじめ投与することを予防的抗菌薬投与と呼んでいます。手術開始直前に抗菌薬を点滴などで投与することにより、手術後の感染を抑えることが期待されています。

【この項目に関する当院の特徴】
当院では、手術部位感染(SSI)の予防を徹底するため、全ての手術において術前1時間以内の抗菌薬投与を原則としています。脳神経外科領域の手術は長時間におよぶ場合が多く、感染リスクの低減が重要であるため、麻酔科医・執刀医・看護師が連携し、適切な予防的抗菌薬投与がなされています。さらに、抗菌薬の種類や投与量についてもガイドラインに準拠し、必要最小限で効果的な使用を行うことで耐性菌の発生を抑制しています。また、院内感染防止対策委員会は定期的に投与状況をモニタリングし、適切な運用が維持されていることを確認しています。これらの取り組みにより、手術後の感染予防に努めています。
d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和もしくは
除外条件に該当する患者を除いた
入院患者延べ数(分母)
褥瘡(d2(真皮までの損傷)以上
の褥瘡)の発生患者数(分子)
d2(真皮までの損傷)以上の
褥瘡発生率
27231 16 0.06
【項目の説明】
令和6年6月1日以降に入院し、令和6年6月1日から令和7年5月31日までの期間に退院し、一般病棟に1回以上入院した患者さんを集計対象としています。
当院で入院された患者さんのうち、d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡の発生患者数の割合を示しています。褥瘡は患者の QOL の低下をきたすとともに、感染を引き起こすなど治癒が長期およぶことによって、結果的に在院日数の長期化や医療費の増大にもつながります。そのため、褥瘡予防対策は、提供する医療の重要な項目の 1 つに捉えられ、1998 年からは診療報酬にも反映されています。

【この項目に関する当院の特徴】
当院では、脳・神経疾患を有する患者さんが多く、運動機能障害や長期臥床を余儀なくされる症例も少なくありません。そのため褥瘡の発生リスクは高い集団を対象としていますが、リスク評価と予防策の徹底により、d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率はほとんどありません。褥瘡発生の具体的な予防策は、全入院患者さんに対して入院時に看護師が褥瘡リスクアセスメントを実施し、体位変換、栄養管理、皮膚ケアなどを組み合わせた褥瘡対策を看護師・管理栄養士・リハビリテーションスタッフが連携して行っています。また、発赤など早期兆候が認められた場合には、速やかに褥瘡対策委員が介入し、悪化防止に努めています。このような組織横断的な取り組みにより、脳・神経疾患を背景とする高リスク患者さんにおいても褥瘡の発生を最小限に抑えています。
65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合ファイルをダウンロード
65歳以上の退院患者数
(分母)
分母のうち、入院後48時間以内に
栄養アセスメントが実施された
患者数(分子)
65歳以上の患者の入院早期の
栄養アセスメント実施割合
894 788 88.14
【項目の説明】
令和6年6月1日以降に入院し、令和6年6月1日から令和7年5月31日までの期間に退院し、一般病棟に1回以上入院した患者さんを集計対象としています。
当院に、検査入院等早期退院を含めた65歳以上の入院患者さんの中で、入院後48時間以内に栄養管理士が栄養アセスメントを実施した患者数の割合を示しています。
早期に低栄養リスクを評価し、適切に介入することで、在院日数の短縮、予後改善につながります。

【この項目に関する当院の特徴】
当院では、全入院患者さんに対し、入院時に看護師が栄養スクリーニングを行い、低栄養リスクを判断しています。看護師が100%介入することで、迅速に栄養スクリーニングが実施されています。検査入院などによる早期退院を除いた入院日数が4日間以上の入院患者さんに対しては、病棟専任の管理栄養士が入院後48時間以内に99%介入し、GLIM基準による低栄養の評価など詳細なアセスメントを実施し、栄養ケア計画を策定しています。栄養ケア計画は医師・看護師・リハビリテーションスタッフなどと共有し、必要に応じて栄養補助食品を付加するなど、食事内容を工夫して必要栄養量を確保することや、摂食嚥下障害を有する患者さんに安全な食形態で提供しています。これらの取り組みにより、低栄養がリハビリテーションや治療成績に悪影響を及ぼすことを未然に防ぎ、在宅復帰や生活機能維持につなげています。
身体的拘束の実施率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
(分母)
分母のうち、身体的拘束日数の総和
(分子)
身体的拘束の実施率
28156 2263 8.04
【項目の説明】
令和6年6月1日以降に入院し、令和6年6月1日から令和7年5月31日までの期間に退院し、一般病棟に1回以上入院した患者さんを集計対象としています。
当院で入院された患者さんのうち、身体的拘束を実施した日数の割合を示しています。身体的拘束は、制限の程度が強く、また、二次的な身体的障害を生ぜしめる可能性もあるため、代替方法が見出されるまでの間のやむを得ない処置として行われるものであり、できる限り早期に他の方法に切り替えるよう努めなければならないものとされています。

【この項目に関する当院の特徴】
当院では、身体的拘束は患者さんの尊厳を損なうものであり、最小限に抑えるべき医療行為と位置づけています。拘束を行う場合は「転倒・転落による重大事故の防止」「自己抜管など生命に直結するリスク回避」など、やむを得ないケースに限定しています。そのため、拘束が必要と判断される場合は、必ず医師・看護師・リハビリテーションスタッフ・管理栄養士など多職種で代替手段がないかを検討しています。そして、拘束を行っている場合は看護師・リハビリテーションスタッフ・管理栄養士が一日に何度も患者さんの状態を評価し、拘束を解除できないかを検討しています。また認知症サポートチームの認知症看護認定看護師と安全管理者が毎日ラウンドし、患者さんの尊厳が守られ安全に医療提供ができているかを評価しています。その結果を身体的拘束最小化チームと共有し、拘束の要因、適正性の分析、予防策、解除の検討などを行っています。こうした徹底した運用により、患者さんの尊厳と安全の両立を図る医療を実践しています。
更新履歴
2025/09/29
病院情報の公開ページを新規掲載
2025/10/01
【項目の説明】および【この項目に関する当院の特徴】の内容を一部修正