公益財団法人脳血管研究所は、美原記念病院の脳卒中を主とした神経疾患の専門病院を通じ、患者の皆様の診断、治療で社会貢献します。

0270-24-3355
〒372-0006 群馬県伊勢崎市太田町366
  • 外来受付時間 月~金 AM8:30~AM11:00
  • 休診日 土・日・祝日 夏季1日・年末年始

パーキンソン病・運動障害(PMD)センター

PMDセンターについて

集合写真

多職種連携チーム医療

パーキンソン病や運動障害疾患は多彩な症状を呈し、患者さんやご家族は日常生活において多くの課題に直面します。このような多岐にわたる課題を解決するためには、それぞれのエキスパートの視点と技術の集結が求められます。当センターは、脳神経内科、脳神経外科、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、管理栄養士、社会福祉士で構成する多職種連携体制を敷いています。また、センターのメンバーは日本パーキンソン病・運動障害学会が認定する「パーキンソン病療養指導士」の資格を所有しており、パーキンソン病と運動障害疾患について高水準の知識と技術で対応いたします。
美原記念病院におけるチーム医療は、患者さんをチームの一員として同じ輪の中に位置づけています。受動的に治療やケアを受けるのではなく、患者さんが主体的に治療とケアに参加します。当センターでは、このような視点から患者さんの主体的な参加を支援していきます。

デバイス補助療法

PMDセンターでは、パーキンソン病と運動障害疾患の患者さんに対し、適切な治療手段が必要な時期に提供できるよう各種デバイス補助療法の提供体制を整備しています。

(1)深部脳刺激療法(Deep Brain Stimulation:DBS)

深部脳刺激療法(DBS)は、パーキンソン病の治療に用いられる先進的な手術法です。この治療では、脳内の特定の部位に微細な電極を埋め込み、胸に埋め込まれたバッテリーから電気信号を送ることで、異常な神経活動を抑制します。これにより、震えや筋肉のこわばり、動作の遅れなど、パーキンソン病の主な症状を緩和します。
DBSの手術は頭蓋骨に小さな穴を開け、電極を脳に挿入することで行われます。患者さんは手術後、外来で電気信号の調整を受けることができます。DBSは、薬物療法と併用することでより効果的に働くことが多く、薬の使用量を減らすことができます。副作用が少なく、長期間にわたって効果が持続するため、多くの患者さんがDBSによって生活の質を向上させています。手術後のフォローアップも重要であり、医師との連携を密に保つことが推奨されます。

(2)持続経腸療法

持続経腸療法は、病気の症状を管理するための新しい治療法の一つです。持続経腸療法では、レボドパとカルビドパという薬を腸に直接送り込むことで、薬の効果を持続させることができます。 持続経腸療法では、まず腹部に小さな手術を行って胃にチューブを挿入します。このチューブを通して、薬が腸に直接送られます。これにより、薬が腸から持続的に吸収され、血中の薬の濃度が一定に保たれます。その結果、薬の効果が長時間続き、症状の変動が少なくなります。 持続経腸療法は、特に薬の効果が切れやすい患者さんや、薬の副作用が強い患者さんに適しています。治療中は、医師がポンプの設定を調整しながら、最適な薬の量を決定します。また、患者さんは自宅で治療を続けることができるため、生活の質の向上が期待できます。

(3)持続皮下注療法

パーキンソン病は、脳内のドパミンの不足により運動機能が低下する病気です。持続皮下注療法(ヴィアレブ)は脳内のドパミンを補充する新しい治療法です。持続皮下注療法では、レボドパとカルビドパという薬を皮下に直接注入することで、薬の効果を持続させます。 持続皮下注療法では、専用のポンプを使用して24時間連続して薬を供給します。これにより、薬の効果が安定し、症状の変動が少なくなります。特に、薬の効果が切れやすい患者さんや、薬の副作用が強い患者さんに適しています。 治療の流れとしては、まず患者さんにポンプを装着し、皮下に針を刺して薬を注入します。ポンプは患者さんの活動に合わせて調整され、最適な薬の量を供給します。深部脳刺激療法や持続経腸療法とは異なり外科的手術を必要としません。自宅でポンプを使用し、定期的に医師の指導を受けながら治療を続けます。この方法により、患者さんの負担が軽減され、生活の質が向上することが期待されます。

(4)当院におけるデバイス補助療法導入の流れ

長期にわたりデバイス補助療法を安心・安全にお使いいただくには、患者さんはもとより、患者さんを支えるご家族や支援者のみなさんが、治療法とその手技について正しくご理解いただくことが重要です。当センターでは、手技についての指導を患者さんとご家族はもとより、支援者(訪問看護ステーションスタッフ、デイサービススタッフ、就労先のスタッフ)にも実施しています。退院前には患者さんに関連する担当者が集まる退院前担当者カンファレンスにより、患者さんの状況と対応を共有し、退院後には訪問看護を実施します。当センターでは患者さんとご家族が安心・安全に治療を継続できる提供体制を整備しております。

専門的リハビリテーション

パーキンソン病や運動障害疾患患者さんの運動機能や生活の質の維持・向上には診断早期からのリハビリテーションが重要です。当院では2011年に神経難病に特化したリハビリテーション部門として神経難病リハビリテーション課を設立し、外来リハビリテーションと短期集中リハビリ入院プログラムを通してあらゆる病期のパーキンソン病・運動障害疾患患者にリハビリテーションを提供しています。

外来リハビリテーション

診断早期の患者さんに対し通院によるリハビリテーションを行います。就労中の患者さんの両立支援の他、姿勢異常やすくみ足といった個別の問題に対するリハビリテーションを行っています。

短期集中リハビリ入院プログラム

1ヶ月間の入院による集中的なリハビリテーションを行うことで進行により低下した運動機能や日常生活活動能力の底上げを行うためのプログラムです。入院時に患者さん個々の症状に即したリハビリテーションを行うために、三次元歩行分析や脳形態画像評価など詳細な検査と評価を行い、個別のリハビリテーションプログラムを立案、実施いたします(詳細はこちらを参照ください)。
1日の2時間強のリハビリを週5〜6日間、4週間にわたって実施いたします。
退院後に通院可能な患者さんは、外来リハビリテーションにて、短期集中リハビリ入院の効果が在宅生活で発揮できているかを確認していきます。経過を確認しながら、再入院の時期や在宅で行えるリハビリテーションの検討をしていきます。

ロボットスーツHAL®

神経難病患者さんへの治療の選択肢が増えました

HAL®︎(ハル)とは、歩行機能が低下した方のリハビリをサポートするための装着型のロボットスーツです。具体的には脳からの電気信号を検知し、その信号に基づいて歩行動作を補助します。ロボットを装着して歩行練習行うことで、弱化した神経や筋肉のはたらきを促進し、運動機能を向上させることが期待できます。本機器を用いて神経難病患者さんへ高度で効果的な治療を行います。

1 対象者について

神経難病を発症されており歩行が不自由な患者さん(対象疾患は2へ)

HAL®︎(Mサイズ)に適合される方
身長 160~175㎝
腰幅 28~ 36㎝
靴サイズ 23~ 27㎝
体重 40~100㎏
(メーカー参考値)

この他にも条件があります。医師が診断のうえ治療の可否を判断しますので、まずは気軽にご相談、お問い合わせください。

2 対象疾患について

以下10疾患が対象です。
脊髄性筋萎縮症(SMA)
球脊髄性筋萎縮症(SBMA)
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)
遠位型ミオパチー
封入体筋炎(IBM)
先天性ミオパチー
筋ジストロフィー
遺伝性痙性対麻痺
HTLV-1関連脊髄症

3 治療と効果について

治療方法

HAL®︎を装着した歩行練習を、最短12日から最長1ヵ月の入院で、9回以上行います。その他通常のリハビリも並行して実施します。

期待される効果

HAL®︎を装着した歩行練習を定期的に繰り返し実施することで、歩行速度の向上や、歩行距離の延長などの効果が見られ、これにより歩行機能が低下する速度を遅らせることが期待できます。

4 入院までの流れについて

まずは電話もしくは問合せフォームよりお問合せください。現在の困りごとや身体機能などの様子ついて伺います。

  1. 受診日の調整・案内
    受診日を決定し、案内します。
  2. 医師による診察・診断
    かかりつけ医からの紹介の場合は、紹介状(情報提供書)をお持ちのうえ受診ください。
  3. HAL®︎採寸・身体機能評価
    採寸し適合判定を行います。また身体機能評価を行い治療計画を立てます。
  4. 入院日の調整・案内
    入院日を決定し、案内します。