公益財団法人脳血管研究所は、美原記念病院の脳卒中を主とした神経疾患の専門病院を通じ、患者の皆様の診断、治療で社会貢献します。

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対象疾患

対象疾患

PMDセンターでは以下に示す疾患を主な対象としています。

パーキンソン病・関連疾患

(1)パーキンソン病

パーキンソン病(Parkinson’s Disease:PD)は、脳の中にある黒質というドパミン神経細胞が減少することで起こる神経変性疾患です。この病気は主に50歳以上の方に多く見られますが、まれに40歳以下の若年者でも発症することがあります。厚生労働省が指定する難病の一つです(病気の重症度が一定以上ある場合)。
主な症状は、運動に関するもの(運動症状)と、運動以外のもの(非運動症状)に分けられます。運動症状には、震え(振戦)、動きが遅くなる(運動緩慢)、筋肉が固くなる(筋強剛)、姿勢を保つのが難しくなる(姿勢反射障害)などがあります。一方、非運動症状としては、嗅覚の低下、便秘、排尿の問題、睡眠障害、うつなどが挙げられます。
治療法は日々進歩しており、治療の選択肢は増えています。薬物療法やリハビリテーションに加えて脳深部刺激療法、持続経腸療法、持続皮下注療法といったデバイス補助療法が行われます。最新の治療法や診断技術の導入、個々の患者さんに合わせたテーラーメード治療なども行われています。
パーキンソン病は完治が難しい病気ですが、適切な治療と管理により、症状をコントロールし、生活の質を維持することが可能です。早期発見・早期治療が重要ですので、気になる症状がある場合は、専門医に相談することをお勧めします。
リンク:https://www.nanbyou.or.jp/entry/169

(2)多系統萎縮症

多系統萎縮症(Multiple System Atrophy:MSA)は、自律神経系、錐体外路系、小脳系の3つの神経系統が様々な程度で障害される進行性の神経変性疾患です。この病気は通常、成年期(30歳以降、多くは40歳以降)に発症し、緩やかに進行していきます。
MSAの症状は多岐にわたり、患者さんによって異なる症状の組み合わせが現れます。主な症状には以下のようなものがあります。

1.自律神経症状:起立性低血圧、排尿障害、便秘など
2.運動症状:パーキンソン症状(動作の緩慢さ、筋固縮など)、小脳症状(歩行のふらつき、言語障害など)
3.呼吸障害:睡眠時無呼吸、喘鳴など

現在のところ、MSAを根本的に治療する方法はありませんが、症状の緩和と生活の質の向上を目指したリハビリテーションが重要な役割を果たし、症状に応じて薬物療法も行われます。
MSAでは、患者さんとご家族が直面する課題は少なくありません。しかし、適切な医療とサポートにより、生活の質を維持することが可能です。
当センターでは、MSAの診断から治療、長期的なケアまで、総合的なアプローチを提供しています。最新の診断技術を活用し、患者さん一人ひとりの症状に合わせた治療計画を立てています。また、患者さんとご家族に対する情報提供と心理的サポートも重視しています。
リンク:https://www.nanbyou.or.jp/entry/59

(3)進行性核上性麻痺

進行性核上性麻痺(Progressive Supra Palsy:PSP)は、パーキンソン病関連疾患の一つで、厚生労働省が指定する難病です。この疾患は、脳の大脳基底核、脳幹、小脳といった部位の神経細胞が減少することで引き起こされます。
進行性核上性麻痺の主な症状には、転倒しやすくなる、下方視の困難、発話障害、嚥下障害などがあります。初期症状はパーキンソン病に似ていますが、安静時振戦はまれで、歩行時の易転倒性、すくみ足、姿勢保持障害が目立ちます。
薬物療法の効果は限られていますが、初期段階ではパーキンソン病の治療薬が歩行障害などの症状改善に効果を示すこともあります。また、リハビリテーション、支援機器の使用、介護サービスの利用なども重要な役割を果たします。治療の主な目的は症状の管理と生活の質の向上です。リハビリテーション、支援機器の使用、介護サービスの利用などが重要な役割を果たします。また、転倒予防や誤嚥性肺炎の予防など、合併症対策も重要です。
PSPと診断された場合、専門医による定期的な経過観察が欠かせません。また、患者さんとご家族への適切な情報提供と心理的サポートも重要です。多職種による医療チームと協力しながら、症状の進行に応じた適切なケアを受けることが、この難病と向き合う上で重要となります。
リンク:https://www.nanbyou.or.jp/entry/4114

(4)大脳皮質基底核変性症

大脳皮質基底核変性症(Cortical Basal Degeneration: CBD)は、中年期以降に発症し、緩徐に進行する稀な神経変性疾患です。この疾患は、大脳基底核および大脳皮質の神経細胞が脱落し、タウ蛋白という異常なたんぱく質が蓄積することで引き起こされるとされています。
CBDの主な特徴は、身体の左右どちらか一方に症状が強く現れることです。症状は多岐にわたり、大脳基底核の症状としてパーキンソン病様の運動症状(筋肉の硬さ、動作の緩慢さなど)、大脳皮質徴候として高次脳機能障害(肢節運動失行、観念運動失行、皮質性感覚障害、把握反応、他人の手徴候など)が見られます。
CBDの診断は難しく、典型的な症状に乏しい場合が少なくありません。そのため、専門医による詳細な検査と経過観察が重要です。
現在のところ、大脳基底核変性症を根本的に治療する方法はありませんが、症状の緩和や生活の質の向上を目指した治療とリハビリテーションが行われます。CBDは厚生労働省が指定する難病の一つで、患者さんとご家族が直面する課題は少なくありません。当センターでは、患者さんとご家族への包括的なサポートにより生活の質の向上を援助していきます。
リンク:https://www.nanbyou.or.jp/entry/142

リンク先:公益財団法人難病医学研究財団/難病情報センター

運動障害疾患

(1)脊髄小脳変性症

脊髄小脳変性症(Spinocerebellar Degeneration:SCD)は、主に小脳や脊髄の神経細胞が徐々に失われていく進行性の神経変性疾患です。厚生労働省が指定する難病の一つで、遺伝性疾患の割合が大きいことが特徴です。この病気の主な症状は、小脳性運動失調(歩行時のふらつき、手の揺れ、発語の困難さといった運動障害)です。そのため体を動かすことはできるものの、上手にコントロールすることが難しくなります。
SCDの症状は多岐にわたり、小脳性運動失調に加えて、脚のつっぱり(痙性)、パーキンソン症状、末梢神経障害なども見られることがあります。また、眼球突出(びっくり眼)や眼球運動障害による複視(物が二重に見える)といった症状も現れる場合があります。
SCDの診断は主に症状や神経学的検査、画像診断や場合によっては遺伝子検査によって行われます。当センターでは、最新の診断技術を用いて、正確な診断に努めています。
現在のところ、SCDを根本的に治す方法はありませんが、症状の緩和や進行の遅延、生活の質の向上を目指したアプローチとしてリハビリテーションが重要な役割を果たします。薬物療法では小脳性運動失調を軽減する薬が使用されます。
患者さんとご家族に対する教育やサポートも不可欠であり、症状の進行に合わせた適切な対応を行っていきます。
リンク:https://www.nanbyou.or.jp/entry/4879

(2)ハンチントン病

ハンチントン病(Huntington’s Disease, HD)は、遺伝性の神経変性疾患です。この病気は、不随意運動(顔や手足の素早い不規則な動き)、精神症状(情動不安定やうつ症状など)、認知障害(記憶力や実行機能の低下)といった症状を特徴とします。
ハンチントン病の症状は通常、30〜50歳の間に発症しますが、まれに若年期や高齢期に発症することもあります。初期段階では、不随意な筋肉のひきつりやけいれんが時折起こり、病気の進行に伴い、より顕著な舞踏運動やアテトーゼが見られるようになります。
ハンチントン病の診断は、臨床症状の観察、家族歴の聴取、そして遺伝子検査によって行われます。現在のところ、この病気を完治させる治療法はありませんが、症状を緩和し、生活の質を向上させるために、薬物療法やリハビリテーション、心理的支援が行われます。
当センターでは、ハンチントン病の患者さんに対して、最新の医学的知見に基づいた診断と治療を提供するとともに、長期的な支援とケアを行っています。
リンク:https://www.nanbyou.or.jp/entry/175

(3)遺伝性形成対麻痺

遺伝性痙性対麻痺(Hereditary Spastic Paraplegia, HSP)は、主に両足の筋肉のこわばりが異常に高まり、歩行などの運動が困難になる遺伝性の神経変性疾患です。この病気は、脊髄の特定の神経経路(主に錐体路)の変性によって引き起こされ、筋肉の痙性(硬直)と筋力低下が特徴です。HSPの症状は、歩行困難、バランスの悪さ、転倒リスクの増加など、日常生活に大きな影響を与えます。発症年齢や症状の進行速度は患者さんごとに異なり、軽度の症状から重度の障害まで様々です。
HSPの症状は脊髄の錐体路およびその他の神経経路の変性によって引き起こされます。この神経変性は、筋肉の制御や運動機能に重要な役割を果たす神経信号の伝達を妨げます。
遺伝的には、HSPは多くの異なる遺伝子変異によって引き起こされることが知られています。常染色体優性型、常染色体劣性型、X連鎖型など、多様な遺伝形式が存在し、それぞれ異なる遺伝子が関与しています。これにより、家族内で特定の発症パターンが見られます。
治療としては、薬物療法とリハビリテーションが中心になります。薬物療法には、痙性を軽減するための薬剤や神経保護薬が使用されることがあります。リハビリテーションでは主に理学療法で筋肉の柔軟性と強さを保つための運動に加えて、転倒予防や歩行を支援する歩行補助具や装具の使用も考慮されます。薬剤研究が進むにつれて、新しい治療法の開発も期待されています。早期診断と適切な治療が患者さんの生活の質を向上させるために重要です。
リンク:https://www.nanbyou.or.jp/entry/4879

リンク先:公益財団法人難病医学研究財団/難病情報センター